
みなさんは、スポーツと噛み合わせの密接な関係についてご存じですか?身体パフォーマンスを向上させるのは、筋力トレーニングだけではありません。実は近年では、「噛み合わせ」もまた運動能力に必須な要素として注目されているのです。
本記事では、スポーツと噛み合わせの興味深い因果関係について解説するとともに、競技者におすすめの矯正方法「マウスピース」をご紹介します。
目次
(1)スポーツと噛み合わせの深い関係

現在では、世界中のトップアスリートや指導者が“噛む力”の重要性を認識しているといわれています。では一体、スポーツと噛み合わせにはどのような因果関係があるのでしょうか。
(1-1)トップアスリートに共通する特徴
スポーツ科学のめざましい発展により、効率的なトレーニング方法や練習メソッドが日々開発されています。どうすれば身体パフォーマンスを向上させることができるのか、研究者や指導者の興味は尽きません。
実は近年、噛む力が身体バランスや瞬発的な力の発揮に大いに影響を与えているという研究結果が続々と報告されています。
例えば有名な話では、一流のウエイトリフティング選手は、他の選手よりもはるかに強い“噛みしめ力”を持っているといわれています。
しかし当時の知見では、そういった噛む力は、あくまでも重いものを持ち上げたり動かしたりするときの筋力に関係していると限定的に考えられていました。
いまではさらに研究が発展し、噛み合わせ(噛みしめ力)が、トラック競技のスタートダッシュ・ラグビーのタックル・野球のバッティングといった瞬発的な力を必要とする場面で非常に重要な役割を担っていることが明らかになりつつあります。
(1-2)噛み合わせが悪いと何が起こるのか
噛み合わせの悪い人が記録や試合でいい成績を残せないというわけではありませんが、少なくとも現在の研究で指摘されているのは、噛み合わせが悪くなると筋肉が硬直し、結果的にうまく力を全身に伝えられなくなってしまうということです。
それだけではありません。不自然な噛み合わせによる筋肉の硬直は、首・肩・腰の慢性的な痛みを引き起こす可能性があります。
現在スポーツをやっていて「以前から腰の張りが解消されない」「首を痛めやすい」という症状をお持ちなら、一度噛み合わせを調べてみることをおすすめします。
(2)スポーツ矯正の利点

もし噛み合わせが原因で本来のパフォーマンスを発揮できないとしたら、それは非常にもったいないことですよね。せっかく努力をして肉体を強化しても、力を全身に伝える効率が悪ければ、ライバルと差がついてしまいます。
「もっといい成績を残したい」「現在は記録の壁に当たっている」「伸び悩んでいる」という方は、ぜひスポーツ矯正を検討してみてください。スポーツ矯正では以下のようなメリットを期待することができます。
(2-1)集中力が上がる
スポーツのここぞというときの大事な場面は、高い集中力を保持した方が制するものです。近年の生理学分野では、正しい噛み合わせが脳の働きを活性化させ、精神的な安定をもたらすという研究が数々報告されています。
(2-2)瞬発力が上がる
トップアスリートの中には、瞬発力を高めるために矯正用マウスピースを装着している選手も数多くいます。
例えば選手同士の激しい衝突が起こりやすいスピードスケートでは、もはやマウスピースが必須アイテムだといわれているくらいです。単純にケガの防止を目的としているのではなく、記録を伸ばす効果を期待できるから装着しているのです。
(2-3)フィジカルバランスが上がる
フィールドを縦横無尽に駆け回る球技や、負荷に耐えながら理想のフォームを維持し続けなければならないトラック競技では、フィジカルバランスが勝負のカギとなります。
フィジカルバランスは、グッと歯を噛みしめることで保つことが可能です。逆にいえば、歯並びが悪いと“噛みしめ力”が弱まり、バランス調整が難しくなってしまいます。
ジャンプをして着地する、左右にコートを振られながら的確にボールをインパクトする、不安定な姿勢でシュートを撃つなど……球技スポーツでは、多くの場面で強靭なフィジカルバランスを要求されます。ライバルと差をつけるためにも、ぜひ一度スポーツ矯正を相談してみてはいかがでしょうか。
(3)いつからスポーツ矯正を始めればいいの?

噛み合わせを改善するなら、若い年齢のうちから始めるのに越したことはありません。まだ骨の柔らかい成長期の頃から対処すれば、正しい噛み合わせによる最高の身体パフォーマンスを手に入れてスポーツに打ち込むこともできます。
もちろん、「これから本格的にアスリートの道を歩んでいきたい」という社会人セミプロの方や、「今後はマラソン競技を生涯スポーツとして楽しみたい」という成人の方も、年齢に関係なく、いつでも矯正を始めることが可能ですよ。
まずは気軽に相談することからスタートしましょう。スポーツ矯正に長けている歯科医院をネットで探して、医師のアドバイスや助言を聞いてみてください。
(4)スポーツ選手やアスリートに向いた矯正方法とは?

「矯正中もスポーツはできるの?」「子どもがケガをしないか心配……」と疑問や懸念を抱えている方もいらっしゃることでしょう。そんな人たちにぴったりの矯正方法をいくつかご紹介します。
(4-1)「ワイヤー型矯正」はスポーツに向いていない?
一般的な矯正方法は、大きく分けて3つ存在します。そのうちの2つは、歯の表(あるいは裏)にワイヤー型の矯正器具を装着するやり方で、豊富な症例数と実績数が魅力です。
このワイヤー矯正治療は、ケガのリスクを考慮すると、バスケ・サッカー・ラグビーといった他プレイヤーと激しく接触するスポーツを行っている方にはあまりおすすめできません。また、アクロバティックな運動の多い体操競技にも向いていないといえるでしょう。
しかし、口元をぶつける心配がほとんどないようなスポーツ、例えば陸上競技・テニス・バドミントン・卓球ならば、選択肢の一つとしてワイヤー型矯正治療も検討する価値があるといえます。
特徴 | |
ワイヤー表側矯正
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・歯の表側にワイヤー矯正器具を装着する
・口元をぶつけるとケガにつながる ・幅広い歯列に対応できる ・相場は70~150万円 ・治療期間は1年半~3年 |
ワイヤー裏側矯正
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・歯の裏側にワイヤー矯正器具を装着する
・口元をぶつけてもケガのリスクが低い ・対応できる歯列に限りがある ・表側矯正よりも費用が高くなりがち ・相場は100~150万円 ・治療期間は2~3年ほど |
(4-2)アクティブなスポーツ競技者には「マウスピース」型の矯正
審美的な面と使いやすさの面を兼ね備えているのが、マウスピース型の矯正治療です。スポーツ矯正を行う際は、基本的にマウスピースの着用が推奨されています。
「衝撃を吸収する」「透明で目立たない」「自由に着脱可能」の三拍子が揃っていますので、老若男女問わず、あらゆる層におすすめです。
マウスピース型の矯正は、通常のマウスピースを用いたタイプと、高性能な3Dモデリングソフトを使って精密に造形したマウスピースを使用する「インビザライン」の2種類存在します。
特徴 | |
通常のマウスピース矯正
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・透明で目立たない
・衝撃に強い ・噛む力を補強できる ・歯が動くたびにマウスピースを作り直す必要がある ・対応できる歯列のバリエーションがやや少ない ・相場は10~100万円(部位による) ・治療期間は2~3年 |
インビザライン矯正 | ・透明で目立たない
・衝撃に強い ・噛む力を補強できる ・精度の高いマウスピースを作成するため、対応可能な歯列のバリエーションが豊富 ・相場は70~100万円 ・治療期間は2~3年 |
(5)まとめ
スポーツと噛み合わせが非常に密接な関係にあることが、最新の研究でわかってきました。理想の噛み合わせを実現することで、瞬発力・集中力・フィジカルバランスを向上できるといわれています。
数ある矯正方法の中でも、運動中のケガのリスクが少ない「マウスピース」が優秀です。老若男女問わず使用できますので、成長期の子どもはもちろんのこと、成人の方でも幅広くおすすめできます。
スポーツ矯正にご興味のある方は、まずは相談してみるところから始めましょう!スポーツ矯正に実績のあるお近くの歯科医院を調べて、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。