
白い歯がこぼれる魅力的な笑顔。
そんな笑顔に人は魅了され、その持ち主に好感を抱いてしまうものです。
みなさんも「あの人の一番の魅力は笑顔だなあ」という人が何人か思い浮かぶのではないでしょうか。
しかし、すべての人が屈託のない素敵な笑顔を作れるわけではありません。
人前で笑いたくない理由はさまざまですが、その中で一番多いのは「歯並びが悪いから」ではないでしょうか。
自分の歯を他人に見られたくない一心で、ついつい口元がこわばってしまうというケースも少なくありません。
なんとかしたいと思いながらも、「歯の矯正は大変そうだから…」と治療自体に拒否感を抱いている人もいるかもしれません。
本当に悪い歯並びを放置していても大丈夫なのでしょうか?
この記事では、悪い歯並びを放置することのリスクについて解説いたします。
目次
1. 不正咬合とは

悪い歯並びや噛み合わせに問題がある状態を総称して「不正咬合(ふせいこうごう)」と言います。
日常生活で良く使用するガチャ歯や出っ歯、受け口などは俗称で、それぞれに医学的な名称が付けられています。
不正咬合が起こる原因はさまざまで、遺伝などの先天的な条件によるもの、虫歯や歯周病など病気が引き起こすもの、癖や習慣といった日常的な反復行為によるもの、などが挙げられます。
お子さんの場合、あごの成長発育に影響することもあるため、幼少期から注意深く観察する必要があるでしょう。
2. 悪い歯並びによる身体的な悪影響
2-1. 虫歯、歯周病

歯並びが悪いことで発生する悪影響として真っ先に挙がるのが、虫歯や歯周病です。
しっかりと磨いているつもりでも、歯が重なって生えている部分には歯ブラシの毛先部分が届かず、どうしても食べかすや歯垢が残存してしまいます。
また、噛み合わせの状態が悪く、唇を上手く閉じることができない人も要注意です。
正常な状態であれば唾液が口腔内に行き渡り、虫歯や歯周病の進行を防止することができます。
しかし、唇が上手く閉じない状態だと口腔内が乾燥しやすく、唾液の量が不十分になってしまいます。
このような理由により、歯並びが悪いと虫歯や歯周病のリスクが高まり、将来的には歯を失う原因にもなりかねません。
2-2. 口臭

社会生活を送る上で無視できないのが、口臭の有無です。
他人に不快な思いをさせてしまうこともあるため、エチケットとして重視している人も多いでしょう。
歯並びの悪さによって適切な歯磨きができず、口腔内が不潔になってしまうことで口臭が発生してしまいます。
また「虫歯、歯周病」の項でも前述した通り、噛み合わせの状態が良くないと唾液の量が不十分になることがあります。
口腔内が乾燥した状態では細菌が増殖しやすく、口臭の原因となってしまいます。
よく知られているように虫歯や歯周病も口臭の原因のひとつとなります。
歯並びや噛み合わせの悪さによって虫歯や歯周病が引き起こされている人の場合、根本的な原因の治療が必要です。
2-3. 胃腸への負担

歯の大きな役割のひとつが、食べ物を噛み砕くことです。
食べ物を細かく噛み砕くことは、飲み込みやすくするためだけではなく、胃腸で効率的に消化吸収する上でも非常に重要なプロセスです。
噛むことによって分泌される唾液も消化を助ける作用を持っています。
しかし、歯並びや噛み合わせが悪いと食べ物をしっかりと噛むことができません。
その結果、食べ物は大きな破片のまま胃腸へ送られることになり、消化不良の原因となってしまいます。
食事のたびに消化不良を起こるのは辛いことですし、そんなことが続けば食事自体が嫌になってしまう…ということも考えられます。
2-4. 歯へのダメージ

歯並びの悪さは歯そのものの寿命にも影響を及ぼします。
正常な歯並びの場合、それぞれの歯にかかる負担が分散されますが、歯並びが悪いと特定の歯に過剰な負担がかかることになります。
その結果、負担がかかり続けた歯の寿命が本来よりも短くなってしまうのです。
歯がダメになってしまえば治療が必要になりますし、そのまま放置しておけばさまざまな問題が生じるのは言うまでもありません。
「今は支障が無いから大丈夫」と油断せず、将来を見据えて早めに対処することが大切です。
2-5. 発音や滑舌への影響

人間の口は、食物を摂取する以外にも「言葉を発する」という重要な機能を持っています。
自分の意思を他人に伝える上で非常に重要な機能だと言えるでしょう。
しかし、歯の隙間が空いていることによって空気が漏れて発音が不明瞭になったり、舌が歯にぶつかって滑舌が悪くなったりと、口腔内の状況によってその機能の良し悪しは大きく左右されてしまいます。
発音や滑舌が悪く、自分の言いたいことが相手に上手く伝わらないことは大きなストレスになるでしょうし、人前で話すことに消極的になってしまうことも考えられます。
2-6. 顔のゆがみ

ふぞろいの歯並びによって見栄えが悪くなるのは「歯そのもの」だけではありません。
いわゆる出っ歯であれば口元が飛び出した感じに見えてしまいます。
また、左右で噛み合わせに差がある場合には、強く噛む方の筋肉だけが特に発達してしまい、結果として顔がゆがんでしまうのです。
「口元だけ隠せばいいや」と悪い歯並びを放置すると、顔という隠しようのない部分に影響が及び、さらに大きなコンプレックスを抱えてしまうことになるでしょう。
3. 悪い歯並びによる身体以外の悪影響

歯並びや噛み合わせが悪いことによる身体的な影響をご説明してきました。
この項では、身体的な部分以外での悪影響についてご説明していきたいと思います。
それは「人生における機会の喪失」という点に尽きるのではないでしょうか。
・歯並びがコンプレックスとなり、他人と積極的に交流することができない。
・歯並びや口臭を放置していることで、身だしなみやエチケットに関心の無い人だと思われ、社会的な信頼を得ることができない。
・発音が不明瞭なため、面接やプレゼンの場で相手に良い印象を与えることができない。
これらはあくまでも一例に過ぎませんが、友人関係、恋愛、学校生活、仕事など人生におけるさまざまなシーンで、本来であれば得られたであろう貴重な機会を喪失することになりかねません。
つまり、悪い歯並びを放置するということは、今後の人生における可能性をみすみす放棄することだと言えるのではないでしょうか。
4. まとめ:悪い歯並びを放置しないで

ここまでの説明で、悪い歯並びを放置することのデメリットはご理解いただけたでしょうか?
メリットについてご説明していないのは、悪い歯並びを放置することのメリットというのは「存在しない」からです。
まさに「百害あって一利なし」という言葉がふさわしいと言えます。
それでもなお、「矯正は高いから…」「治療期間が長いから…」と治療に二の足を踏んでしまう人がいるかもしれません。
しかし、悪い歯並びを放置したことによって失うものは、治療に費やしたお金や時間などよりも遥かに価値のあるものではないでしょうか?
失った健康や人生における機会は決してお金では取り戻せないものです。
一度きりしかない人生。
その人生の質を高めるために、勇気を出して最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。