
社会人になると、さまざまな場面で歯並びを気にすることが増えていきます。
とくに接客や人前で喋る機会があると、「小さい頃に歯並びを直しておけばよかった…」と後悔する方も少なくはありません。
しかし、歯列矯正は大人になってからでも遅くないのでご安心ください。
実際、社会人になって金銭的に余裕ができてから歯列矯正を始める人たちが多いといわれています。
そこで今回は、みなさんにおすすめしたい矯正治療「ワイヤー矯正」「裏側矯正」「マウスピース矯正(インビザライン)」の紹介と、それぞれの費用について解説したいと思います。ぜひ参考にしてみてくださいね。
目次
(1)安心と実績のある「ワイヤー矯正」

「ワイヤー矯正」はもっともポピュラーな歯列矯正の方法です。おそらく多くの方が、「歯の矯正」と聞けば真っ先に思い浮かべるのではないでしょうか。
事実、ワイヤー矯正は古くから行われており、成人矯正の手法として世界的にも幅広く採用されています。
ワイヤー矯正は基本的に歯の“表側”に「ブラケット」と呼ばれる器具を装着します。そのブラケットをワイヤーでつなぎ、引っ張ることで歯列キレイに整えていきます。
(1-1)ワイヤー矯正のメリット
①取り外す煩わしさがない
ワイヤーを一度装着すれば、あとはつけたまま放置するだけです。いちいち取り外す必要がないため、その点においては手間がかかりません。
②矯正できる範囲が広い
ワイヤー矯正は世界的に数え切れないほどの実績があるため、よほどの特殊なケースでないかぎり、たいていの歯並びなら対応することができます。
③矯正(歯の移動)が比較的速い
後述する「マウスピース矯正」よりも、ワイヤー矯正のほうが歯列をキレイに整える速度が速いといわれています。
「長期間にわたって矯正に専念するのは面倒」「短期集中的に矯正を行いたい」という方にはワイヤー矯正がおすすめだといえるでしょう。
④微調整にも対応できる
ワイヤー矯正は、歯並びの方向を自由に調整することが可能です。矯正の内容に細かな要望がある場合に融通が利くというメリットがあります。
⑤比較的リーズナブル
裏側矯正やマウスピース矯正よりも、ワイヤー矯正(表側)は費用を抑えることが可能です。
ワイヤーが目立つというデメリットに目をつむれば、もっともコストパフォーマンスのよい矯正方法だといえます。
(1-2)ワイヤー矯正のデメリット
①人前で目立ってしまう
ワイヤー矯正において、もっともネックだといえるのが「人前で目立つ」という点でしょう。
ワイヤー矯正に一歩踏み出せない方の多くが、おそらくこのデメリットを気にしているかと思います。
②装置を付けると食べ物の制限がある
おせんべい、キャンディ、ガム、キャラメルなど…ワイヤー矯正を行う場合、器具が外れないように食べ物には気を付けなければなりません。
③装置が外れるとやや面倒
たとえ食べ物に気を付けていたとしても、何らかの弾みで器具が外れてしまうこともあります。
その場合は、当然ですが歯科医院で再度器具を付けなおす必要があります。
そういった意味で、ワイヤー矯正を行うとストレスがかかる人もいるかもしれません。
④器具が口内に当たって痛い
個人差はありますが、人によっては器具が歯茎や唇の裏に当たって痛みを感じることがあります。もちろんその場合はワイヤーの位置や締め付け具合を調整することで対応可能ですが、ややストレスに感じてしまう人もいることでしょう。
(2)人前で目立たない「裏側矯正」

「仕事柄、人前で目立ちたくない!」という方も多いはず。そんな方のためにおすすめなのが、歯の裏側にワイヤーを装着する「裏側矯正(リンガル矯正)」です。
表側矯正よりも費用はやや高くなってしまうかもしれませんが、「目立つ」ということがネックでなかなか歯列矯正に踏み出せなかった方でも安心して臨むことができます。
(2-1)裏側矯正のメリット
①誰にも知られずこっそり矯正できる
「矯正しているという事実をできれば隠したい…」という方もけっして少なくありません。矯正器具が目立たない(見えない)ということは、矯正していることを誰にも知られずに済むということです。
②表側矯正よりも虫歯になりにくい
表側に矯正器具を装着していると、どうしても歯ブラシの届かない場所がでてくるため、しばしば虫歯になってしまうことがあります。
しかし裏側矯正では、大量の唾液によって汚れなどが洗い流されるため、比較的虫歯になりにくいといわれています。
(2-2)裏側矯正のデメリット
①表側矯正よりも費用が高くなる
一般的に、裏側矯正の費用は、表側矯正の約1.5~2倍になるといわれています。とはいえ、「目立たずに歯列矯正ができる」というメリットに見合ったコストだと思えば、そこまで気にならないのではないでしょうか。
②人によっては違和感が強い
個人差はありますが、表側矯正よりも裏側矯正のほうが異物感を感じやすいという人もいます。
「常に器具が舌に当たるから不快」「発音がしにくい」というデメリットは、ある程度覚悟しなければならないでしょう。
(3)脱着が自由で日常生活により密着した「マウスピース矯正」

マウスピース矯正(インビザライン)は、透明のマウスピースを装着する最新の“目立たない矯正”方法です。
ワイヤー矯正に比べて痛みもほとんどなく、手入れも簡単ということから、近年では女性を中心に人気を集めています。
(3-1)マウスピース矯正のメリット
①痛くない・目立たない
マウスピース矯正には、ワイヤー矯正のようにワイヤーで締め付けることもないため痛みをほとんど感じることなく、それでいて人前で目立たないというメリットがあります。
②自由に脱着できる
ワイヤー矯正のなかでもとくに大きいデメリットは、なんといっても「食事の自由が限られる」ということ。
しかし脱着が自由なマウスピース矯正なら、状況に合わせて器具を取り外し、普段通りの食事を楽しむことができます。
これにより矯正期間中のストレスがかなり軽減されるため、無理なく歯列矯正を行うことができるでしょう。
③常に清潔で口内トラブルも少ない
マウスピースを自由に脱着できるということは、日々のメンテナンスが簡単だということ。
ワイヤー矯正では虫歯や歯周病のリスクがつきまといますが、マウスピース矯正ならほとんどその心配がいりません。
(3-2)マウスピース矯正のデメリット
①油断していると矯正効果がでない
自由に脱着できるのがマウスピース矯正のメリットである反面、決められた装着時間を守ることができず、結果的に思っていた矯正効果を出し切れないということもあり得ます。
基本的にマウスピース矯正は、最低でも1日あたり20時間ほど装着する必要があるといわれています。
この矯正方法を採用する場合は、くれぐれも器具の“外しすぎ”には気をつけましょう。
②歯並びによっては適用できない場合がある
ワイヤー矯正に比べて、マウスピース矯正は矯正できる歯並びには限度があります。
人によってはワイヤー矯正のほうが最適の方法である場合があるため、まずは担当医に相談することをおすすめします。
(4)各矯正の費用相場
以下に、さきほど紹介した3つの矯正方法の費用相場をまとめました。
もちろんこれは相場なので、歯科医院によって実際的な費用には差があります。
まずはみなさんが通いやすい歯科医院に費用の相談をしてみるとよいでしょう。
矯正方法 | 治療期間 | 費用相場 |
ワイヤー矯正(表側) | 最大3年ほど | 60~100万円 |
ワイヤー矯正(裏側) | 最大3年ほど | 100~150万円 |
マウスピース矯正 | 最大2年ほど | 10~100万円
(部位によって変動します) |
(5)まとめ
費用の面でもっとも優れているのは、表側に器具を装着するワイヤー矯正がよいでしょう。
ただし人前で目立つというデメリットがあるため、費用よりも目立ちにくさを重視するなら、マウスピース矯正が一番おすすめです。
歯並びの矯正は審美性だけでなく、虫歯や歯周病のリスクを軽減したり、口臭を改善したりする効果も期待できます。
矯正は、大人になってからこそ始めるべきです。
みなさんもぜひ、成人矯正を検討してみてはいかがでしょうか。